当社が依頼を受けた調査の中から、調査依頼から判決に至る迄のプロセスをご紹介。
調査依頼→証拠蒐集→慰謝料請求訴訟→判決→慰謝料の受取
相談者は28歳の徳島市内在住の主婦(E子)さんです。E子さんは、平成8年に高校時代の同級生であった夫と結婚し
当時7歳の長女と3人で暮らしていました。夫は地元でも有名な企業に勤める会社員で、当時仕事上の資格を取得する
為に、会社帰りに専門学校に通う真面目で平凡な夫でした。
E子さんは、結婚6年目の平成14年の8月頃、夫の携帯電話の請求金額が以前の2倍以上になった事に疑問を抱き夫
の態度を伺っていた所、以前はどこにでも携帯電話を置いていた夫が、常に携帯を身の回りに置き、トイレにまでも持ち
込む様になっていた事に気づき、不審に思ったE子さんが深夜夫の携帯を確認し結果、一人の女性と頻繁にメ−ルや電
話をしていた事が判明する。
翌日その事を夫に問いただした所、夫は驚いた様子で「同じ専門学校に行っている女性で、勉強の事で相談に乗ってた
だけ」と説明するが、妻の直感で怪しいと感じる様になる。
その後夫は、徐々に残業や専門学校の勉強を口実に、帰宅が遅くなり外泊も増える様になり、10月の中旬突然夫は「自
分の人生をもう一度見直したいのでしばらくの間一人で考えたい」と言って家を出て実家で暮らすようになったが、E子さ
んも一時的な事だろうと見守っていた所、突然夫は会社を退職して行方不明になりました。
E子さんが相談に訪れる。
当社に相談に訪れたのは、夫の行方不明になってから4ヶ月後の翌年の2月の事でした。
E子さんは、精神的なショックから、かなり衰弱している様子で、夫の家出の原因が女性問題なのか。「自分自身に責任が
あるのか?」 と考えた結果、もう一度夫に会い真意を確認したいと、強く希望している状況でした。
調査依頼を受ける。
相談の結果、夫の所在を確認した上で現状生活を確認する。と言う事で、「所在調査」と「素行調査」を引き受ける事になり
ました。この調査では、夫に女性の存在がある事は濃厚でしたが、既に夫は家を出て、会社も退職している事から、捜索の
手がかりとしては、夫の写真と車種、その他友人関係の情報だけであったが、調査開始から5日目に徳島市内を走行中の
夫の車を発見。
追跡の結果、鳴門市内のアパ−トで女性と暮らしている事が判明し、翌日からは、夫の行動調査を開始する。
調査の結果を依頼者に報告する。
2週間に渡る調査の結果をE子さんに報告する。調査報告書には、夫が女性とアパ−トで暮らしている状況を立証する証拠
写真を始め、2人に関する詳細な内容が記載されている。
不倫相手=S子 25歳 徳島市内の不動産会社勤務
その他、現在の夫の勤務先や2人の生活状況や知り合った経緯や女性の身元にについて詳細な説明を行い今回の調査を
終了する事になる。
1ヶ月後
調査が終わって1ヶ月が経過した頃、E子さんから連絡がある。
その後、何度か夫に会い時間をかけて話し合った結果、夫は女性と別れ家に戻っているとの報告を受け私も、円満に解決で
きよかったと安心していました。・・・・・・・ところが
3ヶ月後
それから3ヶ月が過ぎたある日、再びE子さんから連絡がある。
話しによると、家に戻ってからは夫も自分の行いを反省して優しい元の夫に戻っている様でしたが、ただ最近少し帰宅が遅く
なる事があり、念のために退社後の行動を調べたいと要請があり3日間の契約で再び調査した結果、何と、夫は定時に会社
を出て、あるアパ−トの一室に・・・・なんと、そのアパ−トには、不倫相手のS子が暮らしていました。
妻は徹底的に戦うと決意する。
6月下旬依頼者E子さんは、不倫相手S子に対する慰謝料請求訴訟をする事を決意する。
訴訟の為に、E子さんから弁護士の紹介を頼まれたが、予算的な問題もあり、自らが法廷に立つ事を奨める。訴状や関係書
類の作成については、私の知り合いの司法書士に依頼する事になった。
私とE子さんが、司法書士事務所を訪問する。
司法書士に依頼する事は訴状や陳述書等の裁判に関係する書類の作成のみで、法廷にはE子さん一人で立つ事になる。
当初E子さんは不安に思っていたが、司法書士の先生が裁判の時は傍聴席で見守ってくれると言う配慮で安心して依頼する
事になる。
7月12日提訴
平成15年(ワ)第***号 慰謝料請求事件
訴訟物の価格 金300万円
貼用印紙額 金22600円
請求の趣旨
1 被告は原告に対し、金300万円及びこれに対する本訴状送
達の日の翌日から支払い済みまで年5分の金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
いよいよ裁判が開始される。
第1回目 8月1日 徳島地方裁判所7号法廷
被告側は弁護士が出廷する。
弁護士から、訴状の中にある請求の趣旨と請求原因に対する答弁書が提出する。 答弁書の 内容は訴えの趣旨を全面否
定する内容であった。(所要時間5分)
第2回目 9月12日
被告弁護人から、第1準備書面が提出される。
(被告の主張)
1 被告と(夫)は、平成12年2月専門学校で知り合う。
2 被告と(夫)は、友人関係であり、仕事上の付き合いはあるが不倫関係ではない。
また、被告から一時アパ−トを借りて住んでいた事は事実であるが、同棲はしていないと、全面否定でした。
第3回目 10月10日
原告側から陳述書と証拠申出書(写真等)を提出する。
(陳述書)
陳述書には、被告が全面否定した事実を覆す為に、夫の行動が変化した時期の状況から調査依頼までの経緯を記載。
(証拠申出書)
証拠類として当社の調査報告書を提出する。被告と夫がアパ−トで生活する状況を撮影した写真等である。
第4回目 11月7日
被告側から第2準備書面が提出される。
その内容とは、前回原告が出した証拠資料を見て全面的に否定する事は不可能であると判断した内容であったが、その内
容には、被告の苦しい逃げ文句を書いた内容であった。
その一部を紹介すると。
被告は夫が既に離婚していると思っていた。
被告が夫のアパ−トに出入りしていたのは、一人暮らしで困っていた夫に食事を作りに行っただけであり、証拠写真として提
出されたベランダに干されていた女性物の下着については男女数名で鍋パ−ティ−をした時に、お風呂に入り下着を洗濯し
たが、その下着を忘れて帰り、夫が干したものである。 との、苦しい言い訳を記載した内容であった。
いよいよ次回は、被告人が出廷する事になる。
被告人尋問の準備として、私とE子さんが司法書士事務所を訪問して今後の作戦を考える。
相談の結果今回のポイントは、被告が前回提出した答弁書の中にあった、(被告は夫が既に離婚していると思っていた)と言
う内容に注目した。常識から考え、肉体関係が一切無いと主張しているにも関わらず「離婚していると思っていた」と言う答弁
をする理由には、不貞行為が認定されても、「被告が夫に独身であるとだまされていた」と主張した場合には、問題がある。
この問題をクリアする為には、E子さんとと夫が離婚していない事を被告が知っていた事を証明する必要があった。
難しい問題ではあるが、ただ、一つの望みとして、当時被告は不動産会社に勤務していた為、もし、その会社がアパ−トを紹
介していた場合には、被告が手続きをした可能性が高い事から、アパ−トの家主に事情を説明し契約書のコピ−を入手する
事ができた。その賃貸契約書の記載内容を見たE子さんは、即座に夫の筆跡ではない事に気付くと共に、入居予定者欄に自
分や子供の氏名も書かれていた事を確認。この契約書の作成を被告自らが行った可能性は濃厚であり、その立証方法として
被告の訴訟委任状の控えを裁判所に請求し、その筆跡が同じである事を確認する。
第5回目 被告人尋問
被告に対する尋問事項については、予め尋問内容を裁判所に提出してある事から、被告はそれに対する答えを弁護士と相談
し、自らが不利になる質問に対しては全て否定する答えを用意している。
そこで原告側としては、当日に追加の尋問事項と新たな証拠を裁判所に提出。その内容を見た弁護士は、驚きを隠せず被告
に対する尋問が始まる。
第一に質問した内容は、被告側が前回の答弁書で答えていた 「原告と夫は離婚していると思っていた」と、言う内容を覆す
ためにアパ−トの契約方法について質問した所、被告は予想外の質問をされたことに動揺し、自分が作成した事を認める。
また、アパ−トに同居していた事も認めるが、最後まで肉体関係については否定する事になる。
最後に原告のE子さんが、被告に言った言葉は、 「男と女が同じ部屋で暮らしていながら、一度も肉体関係がないと言う事
を信用できると思うのですか」と力強い言葉で言った。
その時のE子さんの姿は、ドラマの中に出てくる女性検事の様でありました。
最後に裁判官から判決日が伝えられ、被告は深々と頭を下げて法廷を出て行く。
12月19日 判決
主文 被告は原告に対し、金150万円及びこれに対する、平成15年7月12日から支払い済みまで、年5分の割合による
金員を支払え。訴訟費用はこれを2分し、その1を原告、その余を被告の各負担とする。
判決文の内容
当裁判所の判断。
1 前判示の事実のほか、証拠(甲7号証から第9号証まで及び第12号証、被告人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれ
ば被告は、平成13年12月頃から平成14年3月6日頃までの間、多数回にわたり、原告の夫の居住する本件アパ−ト
に余人を交えず宿泊した事が認められる。
被告のこの様な行為は、被告と原告の夫との間に性的関係を伴う不貞の関係が存したのではないかとの疑いを強く抱か
せるものであり、原告の婚姻生活の平穏を侵害する不法行為を構成するものと言わなければならず、これによって原告
が精神的苦痛を被ったであろうことも優に推認することができる。被告は、原告が離婚していたと主張するが、仮にそうで
あったとしても、少なくてもそう信じた事について過失があったことは否定できない。
2 もっとも、前判示の事実によれば、被告が本件アパ−トで宿泊を繰り返していた頃には、夫と原告は別居中であり、必ずし
も原告と夫との婚姻関係は円満でなかったことが認められる。なお、夫が原告との別居前から被告と不貞の関係にあった
事を認めるに足りる証拠はなく他方、原告と夫との婚姻関係が別居によって完全に破綻していたことを認めるに足りる証
拠もない。
そこで、諸般の事情を考慮し、原告の精神的苦痛に対する慰謝料の額は、金150万円をもって相当と認める。
徳島地方裁判所民事部
裁判官 ****
判決は請求額の半額になったが、E子さんも減額は覚悟していた為不満はなく、それよりも不倫相手S子に対して合法的な
制裁ができた事に満足した様子であった。
後にE子さんは、控訴期限を過ぎた平成15年1月の中旬に被告弁護人を通じて慰謝料全額を受取り、その後、夫とは正式
に離婚したと連絡がありました。
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